作品
05 首(うなじ)(暫青・R18)
ゆったりと過ごす午後の一時。
青樺は、庭の木陰に陣取り、恋人を指南役に手習いの一環として読書をしていた。
まだ難しいものは読めないけれど、わからないことは聞けばいいし、以前に比べれば進歩したと思う。
内容を頭に入れながら、青樺は文字を目で追った。
けれど、いまいち集中しきれないのは。
(……たぶんこの体勢のせいだと思う)
意識してしまうと、頬が火照る。
なぜならば。
恋人がしっかりと、青樺を後ろから抱きかかえているから。
彼の足の間に身を置いて、逞しい胸に背中を預けるような形で腰を下ろしている。
余人が見たらば、目も当てられない光景だろう。
恥ずかしすぎて。
けれども、幸いというかなんというか、ここは李暫嶺が守っている今は亡き史鋭慶の別邸。
他に見咎める者などいはしない。
いはしないのだが……
恋人に包まれているのは、安心する。
温かくて、気持ちいい。
こういった状況でなければ、うんと甘やかされていることを実感できる大好きな体勢なのだが。
「あのさ……李暫嶺……」
「なんだ、青樺」
青樺の恋人は、なんでもない風情で応えを返す。
呼気がうなじにかかって、思わず肌が震えてしまった。
「退屈じゃない?俺、本を読んでるだけだし……」
悟られないように努めて言葉を紡いだのだが。
「いいや、ちっとも。必死に書物に集中しようとしながら、俺を意識していまいち集中しきれない青樺を腕に抱いているのはいっそ楽しい」
「なっ」
どうしようもないと言おうか、臆面がないと言おうか。
李暫嶺の台詞に、青樺は絶句してしまう。
背後で、彼がくつくつと笑う気配。
「あんまり読書に没頭して、俺のことを忘れているようなら、こうして……」
「ひゃ……」
「悪戯してやるだけだしな」
うなじが弱いと知っているくせに。
そこにやわらかく歯を立てられて、頬といわず、耳といわず……真っ赤になったのを自覚して。
「~~~~バカッ」
背後からぎゅっと拘束されているせいで身動きが取れない青樺は、せめてもの報復に照れ隠しにしか聞こえない悪態をついたのだった。
※
李暫嶺はひたすら青樺を甘やかし放題にしているといい。
そんでもって微妙に確信犯だといい。
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