作品
03 喉仏(のどぼとけ)(史青・R18)
新しい王を支える宰相として忙しい日々を送っている史鋭慶の久々の休日。
二人だけでゆっくり過ごすのは久しぶりで、青樺はその日が訪れるのを指折り数えて待っていたほどだ。
妥協と休息を知らない恋人の身体のことも心配なのは当然のこと、何より少しだけ青樺は寂しかった。
蔑ろにされているわけでもなければ、放ったらかしにされているわけでもない。
とても大事にしてもらっているとは思う。
けれども森の中の別邸でのような二人きりの時間は驚くほど減ってしまった。
有能な官僚として仕事をこなしている史鋭慶もかっこよくて大好きだったけれど、もうちょっとだけ自分にも構って欲しいと思ってしまったのだ。
しかし、そんなことは口に出せなくて。
だから、この休日を心待ちにしていた。
ようやっと訪れた二人きりの時間に、青樺は終始ご機嫌で、甲斐甲斐しく世話を焼きながら、史鋭慶の傍にくっついたまま一日を過ごした。
そして今、夕餉の後の晩酌を楽しんでいる。
恋人の差し出した杯に酒を注ぎ、時折頤を掬われて、酒を口移しにされる。
甘ったるい行為を見咎めるものはなく、青樺は陶然と酒ではなく恋人とのひとときに酔った。
青樺の眼差しが潤み始めたのに気づいたのか、恋人は優しく目を眇めて、肩を抱き寄せてきた。
世界で一番安心する場所に落ち着いて、満足したのもつかの間……じんわりと火照り始めた肌と衝動に突き動かされるまま、酒がまだ残っている瓶子を置いて青樺は腕を伸ばす。
史鋭慶の首に縋り付いて、そのまま喉仏に唇を寄せた。
ちゅ、と音を立てて吸い付くと、男の身体がわずかに揺れる。
そこは恋人の弱い場所、なのだ。
たぶん知っているのは青樺だけ。
幼馴染である王も、青樺と出会う以前に史鋭慶と身体の関係を持ったことのある誰も知らないはずだ。
彼を心から愛しているからこそ、そして彼に真実愛されているからこそ知ることのできた秘密。
優越感に満たされながら、手っ取り早く恋人をその気にさせるための悪戯を仕掛けた青樺の耳に、溜息が聞こえる。
それは呆れているのではない、愛しくて仕方がないとでも言いたげな溜息で。
「……史鋭慶」
名を呼ぶ声もすっかり甘い。
その声に応えるように恋人は、蕩けそうに優しい笑みを浮かべて。
「青樺」
うっとりと目を閉じた青樺の唇に、己のそれを押し当てたのだった。
※
史青は純愛も陵辱もBADもエロなしのグッドエンドも全部、萌えツボぎゅぎゅっと押されたカプでしたので、どのルートを書いてても楽しい。まあ、マイナーだったんだけどね(遠い目)。
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