作品
08 ふくらはぎ(ダンテ主)
ボルテクス界は広い。
元の世界の『東京』のみが受胎を経て創世のための卵となった世界だが、移動手段に徒歩を使うのなら充分すぎるほど広大と言える。砂漠やダメージゾーン、灯りのない坑道……いったい誰が仕掛けたものか、落とし穴やワープゾーンと言った巧妙なトラップまである始末。
エリアからエリアを移動できるアマラ経絡なるものもあるが、それを利用するためのアマラ転輪儀は一度作動させなければ使えないため、未知のエリアへは基本的に歩いていくしかない。
奏はようやく辿りついたトウキョウ議事堂のターミナルの床にへたり込んでしまった。
着いた早々シジマの悪魔・スルトと休む間もなく一戦交えたのも疲労に拍車をかけた気がする。
身体は悪魔のそれであっても疲れるものは疲れるらしい。
人間よりははるかに頑丈で打たれ強い作りなのだが、疲れ知らずとは行かないようだ。
歩き詰めで張ったふくらはぎをマッサージするために、奏は腕を伸ばした。
と、そこへ……
「マッサージなら、俺がやってやるぜ、マスター?」
低音のハスキーボイスが耳を擽り、驚いて肩が震えてしまう。
「……だ、ダンテさんっ?」
油断も隙もないとはこのことだ。
振り仰ぐと大剣を背負ったデビルハンターがいつの間にか気配なく背後に立ち、ニヤニヤとこちらを見下ろしていた。
端整な顔立ちだが、如何せんその表情がよろしくない。
身の危険を即座に感じ取った奏は、力いっぱい首を横に振った。
「い、いえっ、遠慮しますっ」
「いやいや遠慮なんてすることないぜ、ご主人サマ。ぜひともこの下僕にご奉仕させていただきたく……」
恭しい口調を裏切るのは、ふくらはぎを這い回るいやらしい手つき。
それになにより。
「ダンテさんを下僕にした覚えなんてありませんっ」
他の仲魔たちとは魂の契約を交わした。彼らはその存在ある限り奏に忠誠を尽くすと誓っているから、まあ下僕と言えないこともない……が、ダンテと交わしたのは一マッカとは言え金銭のやり取りあっての雇用契約だ。ギブ・アンド・テイクの関係が成り立っているからには、両者は対等でなければならないはず。
下僕だなんてとんでもない。
本人だってそんなこと欠片も思っちゃいないはずなのに。
「連れないこと言うなよ、カナタ」
面白そうに唇の端で笑いながら、ダンテの手の動きはますますエスカレートしていく。
「……だから、ちょっ……そんなとこ疲れてませんってば……やっ……」
必死の抗議もこの男には通じない。
じわじわと滲み出すような快楽にいつしか抗議の声は弱くなり、ターミナルの中には甘い嬌声だけが響き渡った。
※
本家DMCでのダンテさんはどんなだか存じ上げませんが、マニアクスにおいてはセクハラが標準装備の人だと思います。
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