作品
1,真っ向勝負(シキアキED1・R18)
「い、いいか、するからな?」
アキラがごくりと息を飲み、妙に上擦った声で宣言すると、シキは呆れたように溜息をついた。
「やるならさっさとやれ。大体さっきから何度同じことを言っている」
どこか小馬鹿にしたような物言い。
むっとしつつも、真実なのでアキラは言い返せない。
アキラがシキの正面に立ち見詰め合う……というより睨み合うこと既にかなりの時間が経過していた。
きっかけは些細なことだ。
ふとした瞬間にシキが顔を寄せてきた。
それの意味するところに気付かないほど鈍くはなかったし、付き合いも短くはない。
何よりアキラは、シキにくちづけを求められることが嫌いではなかった。
だから、従順に目を閉じて唇が触れ合う瞬間を待っていたのだが。
くちづけの代わりに、シキの挑発的な言葉が降ってきたのである。
曰く。
『そんなに物欲しそうな顔をするなら、たまには自分からしてみたらどうだ?』
からかうようなそれが、明らかな挑発であることはわかっていたのに。
売り言葉に買い言葉。
気付いたらこの状況である。
思えばシキの意識が戻る以前は、アキラから積極的に手を握ったりキスをしたりということをしていたのだが……彼が帰還を果たしてからは、もっぱら求められるのに応じるばかりで、自ら求めたことはなかった。
それだけに、はっきりと意思を持つシキを前に戸惑うやら、気恥ずかしいやら。
「せめて、目くらい閉じたらどうだよっ」
それがキスのマナーってもんだろう、と訴えるとシキは鼻で笑った。
その態度が癇に障る。
けれども引けない。
引いたら負けだ。
キスをするのに勝ち負けがあるかどうかはともかく、これはシキからの挑戦なのだから。
「~~~~~~っ」
地団駄を踏みたい心境とはこのことか。
シキは腕を組み、僅かに顎を逸らして面白そうにこちらを見下ろしている。
絶対に負けるものか。
半ば自棄ではあるものの、アキラはとうとう意を決すると、男の前に一歩踏み出すと肩に手を当てて爪先立ち、ぎゅっと目を閉じてぶつけるように唇を寄せたのだった。
※
ED1連作『遠い夜明け』『そして朝が来る』の続きっぽく。基本的に当サイトにおけるED1創作はこの連作が基本になっています。
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