作品
3,寝起き(ライコノ・R18)
ライは寝台ですやすやと寝息を零している己の賛牙に、ため息をついた。
愛しい猫の健やかな寝姿は微笑ましいものがある。
が。
今はもう陽の月が高く昇っている時刻だ。
確かに昨夜は少々無体を強いたかもしれない。
そう思って寝かせといたわけだが……
(この時分になっても起きんとは……)
しかも、いったん部屋を出て行ったライが戻ってきた気配に気付きもしないどころか。
耳をぴくりとも動かすことすらしない。
安心しているというより、惰眠を貪っているとしか言えない光景だ。
呆れて物も言えない。
仮にも賞金稼ぎなら、もうちょっと気配に敏くなっても罰は当たらないだろう。
そもそも、猫としてどうなんだ、それは。
ライは思案するまでもなく、寝台に歩み寄り、毛布からはみ出ている鉤尻尾を掴もうとした。
まさにそのとき。
コノエの目がぱかりと開けられる。
一瞬、流石に気配を感じて起きたのかとも思った。
思ったのだが、しかし。
「らい」
舌っ足らずに呼ばわって、にっこりと笑う。
寝っ転がったまま、毛布の中からおいでおいでと手招きまでするに至って、『ああ、寝惚けているのか、この馬鹿猫は』という結論に達した。
「ライ、ここ」
手招きに応じないことに焦れてか、パンパンと自分の傍らを叩いて催促までする始末。
ついでに尻尾もパタパタ寝台を叩く。
「……さっさと起きんか、この馬鹿猫」
呆れた物言いに、屈することない寝起きのとろりとした眼差しで睨みつけてきた。
「ここに来てくれたら起きる」
駄々を捏ねる子猫か、貴様は。
怒鳴りつける気力さえ萎える。
渋々、枕元に腰を下ろした。
「ほら、来てやったぞ。さっさと起きろ」
「んー」
コノエは覚束ない腕で身体を支えて、むっくり上半身を起こす。
そうして、ライの首に縋りつくみたいに腕を回した。
そのままぐいっと引き倒され、コノエの身体の隣に転がる羽目になる。
「おいっ」
流石に牙をちらつかせて唸ると、己の賛牙はうっとりしたみたいに微笑んだ。
「一緒に、寝よ」
くるる、と喉を鳴らしてそして。
唇に、軽く触れて離れたやわらかい感触。
文句を言おうとしたときには既に遅く、連れ合いは再び眠りの国へと旅立っていた。
ライの胸元にしっかり寄り添って、いつの間にか尻尾まで絡めあって。
「…………馬鹿猫が」
起きたら覚えていろ。
心の内で毒づきつつ、ライはコノエの身体を抱き寄せ、甘い匂いのする髪に鼻先を埋めるようにして瞼を閉じた。
※
Lamentoにおける猫描写には力が入る。猫耳は正義、尻尾は正義……そんな感じ。
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