作品
05 側にいさせて、抱きしめて(帝国・史鋭慶×青樺 R18)
甘い気怠さに包まれたまま、青樺は目を覚ました。
身体のあちこちがまだ、快楽の名残に痺れているような気がする。
夢現の心地で寝台の上に手のひらを彷徨わせる。
けれどいつまで経っても手応えはなく、一抹の寂しさと共に寝台の上に身を起こした。
共に褥を温めていたはずの史鋭慶の姿がない。
青樺は夜着を羽織って恋人を探した。
居場所に検討はついている。
二階の桟敷。
青樺が思ったとおり、史鋭慶はそこにいた。
欄干に寄りかかり月を見ている。
その月に誰を重ねているかなんて明らかだった。
青樺と史鋭慶が互いへの想いを確認しあい、肌を重ねるようになってまだ一月あまり。
心の比重の幾許かは西域へと旅する皇子に向けられるのは仕方のないこと。
そうは理解していても、こんな風に褥に青樺を一人残して物思いに耽るのは切ない。
皇子のことを案ずるなとは言わないけれど、これでは想いが通じたことは夢で本当は今もまだ青樺は史鋭慶への片恋に胸が塞いでいるような気になってしまう。
皇子を案じているときでさえ、側にいさせて欲しいと思うのは傲慢だろうか。
誰よりも、誰よりも、史鋭慶を愛しく想うから。
「…………史鋭慶」
自分がいることを忘れたかのような素振りしはないで欲しい。
名を呼ぶと、史鋭慶は月から視線を逸らしこちらを向く。
その眼差しから彼の心中を図ることは出来ない。
ただ求められているのだと感じることは出来て、安堵した。
「共寝をした相手を一人にするなよ……」
なにを思っていたかには触れず、事実のみを甘く責めながら腕を伸ばす。
青樺の意図を汲み取って、史鋭慶はその手をとると胸に抱き寄せてくれた。
「……すまない」
「目が覚めたら史鋭慶がいなくて……寒くて目が覚めたんだ。だから、もう一度温めて」
もっと強く抱きしめて欲しい。
身体だけではなく心も芯まで温もるように。
そして自分の温もりが史鋭慶を癒すことを願いながら。
青樺は恋人の胸に全てを預けるみたいに頬を埋めた。
end
帝国からはもちろん史青ですよ。
純愛ルートの蜜月初期ですね。
わたしはどうも史鋭慶→青樺よりも青樺→史鋭慶のほうが好きみたいで、自分で書くのも
そんなのばかりですね。
でも史鋭慶→青樺というのは結構書かれていらっしゃる方も多いですし。
どうにも受けキャラに切ない想いをさせるのが好きなもので(笑)。
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