庭球小説

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作品

一章 櫻霞月・六

 リョーマが天領で生活をはじめて3日。
 異世界での生活は、驚くことや馴染みのないこともあったが、けっこう慣れることができるものである。
 それはリョーマ自身が精神的に環境変化における順応力に優れていたことと、もといた世界との共通点などもけっこうあることが多分に影響しているのだが。
 衣食住が保障されていることもあって、自然ゆとりのようなものが生まれる。
 そのことが結果的にリョーマの内なる力を高め、教師役の不二の舌をも巻かせるほどであった。
 召喚される以前は、霊感だとか超能力だとかにはさっぱり縁がなく、強いていうなら直感力は人より備わっていたと思うけれど、特殊能力というよりは、本能の導きに従った野生の勘、に近いもので。
 それなのに、今の自分はあちらでは漠然とした定義でなかった『気』というものの流れを如実に感じることができるのが、愉快で不思議。
 ごく自然のものとしてあるがままに受け止められる、加護女の力。
 目で物を見るように、耳に音が聞こえるように、指が何かに触れるように。
 特に意識することもない。
 だから、今感じていることも、別にそうしようと意図しているわけではないのだ。
 午前中の指導を終えた不二が、用があるからと席を外した後、大石が仕事の合間を縫って様子を伺いに来てくれた。
 体調のことはもちろん、生活に不便はないかと。
 ないと答えると、あのこちらもにっこりしたくなるような笑顔を浮かべ、菊丸と少し言葉を交わして仕事へと戻っていったのだけれど……
(……英二の『気』、なんかきらきらしてる)
 実際に光っているのが見えるわけじゃない。
『気』は目に見えないもの。
 ただ、感じるのみ。
 リョーマが感じた菊丸の『気』を言葉にするなら、『きらきらしてる』という風に表現するしかない。
 気まぐれな猫よろしく、菊丸の感情は万華鏡のようにくるくる変わる。
 そしてその感情の起伏が、実にわかりやすく『気』に影響するものだから、人の『気』を探るのにいい練習相手、と不二に言われて(もちろん菊丸には内緒だが)、リョーマもこっそり彼女を観察していたりしたのだが。
「ねぇ、英二」
「ん?どうしたのかにゃ。お腹空いた?それならもうすぐ昼ご飯が届くから待つにゃ」
「それもあるけど……あのさ、なんかすっごく機嫌いいね」
「そう?」
 にこにこ笑う、その顔を見れば、わざわざ『気』を感じなくったって機嫌いい以外何ものでもない。
「そう。大石さんが来てから、ずっとそんな感じ。なんていうの、全身が我が世の春を謳歌してます、みたいな」
 すると菊丸は、ぱっと頬を赤らめて、照れ笑いを浮かべる。
「それは、当たり前にゃ、おちび」
「?」
「好きな人の顔が見れたら、嬉しいに決まってるだろ?」
「は?」
「わかんない?大石はー、俺の情人(イイヒト)ってやつだにゃ」
 恥ずかしそうに、だがしかしやけにきっぱりと言い切って、菊丸はリョーマの肩を力いっぱい叩いた。
「っ痛」
「あー、ごめん。ごめん。つい思いっきり叩いちゃったにゃ」
「いいけど……別に。つまり、英二と大石さんは恋人同士なわけね」
「そゆこと」
 ほややん、と微笑む菊丸の顔はとっても幸せそうで、突込みを入れる気も失せる。
 少し驚いたけれど、並んだ二人を思い浮かべるととってもお似合いに思えて。
 きらきらと、輝くような菊丸の『気』。
特別な誰かへと、一途に向けられる気持ち。
(英二、大石さんのこと、大好きなんだ)
 じっと見つめてしまった自分に、菊丸は気恥ずかしそうにはにかんだ笑みを見せる。
 好意をはらんだ『気』は心地いい。
 優しくて、温かくて、甘くて、ふんわりした気持ちになるから。
 不二や、菊丸や、大石と接するときに感じるそれらは、リョーマをとても安心させてくれた。
 不二たちだけではない。
(……あの人も)
 怜悧な横顔を思い出し、胸の奥が複雑な疼きを訴える。
 リョーマが生活しているのは、内宮の一角にある瑠璃宮と呼ばれる建物。
 実際に使っているのはその更に限られた空間だけなのだが、この瑠璃宮は北辰王の結界が張られているのだと教えてくれたのは不二だ。
 手塚が自ら、張ってくれた結界。
 その内にある限り、リョーマに害意や悪意を持つものは一切近づけない。
 自分を守るためにしてくれたのだと聞いたとき、とても嬉しかった。
 北辰王の結界は、この国で屈指といわれている法術師の不二をもってしても壊すことはできないのだという。
 不二に指導を受けるようになってまだ2日だが、時折感じる……自分に近くて、そして全く異なる力の気配。
 それが手塚の結界なのだ。
 北辰王は陽の力、加護女は陰の力。
 陰と陽は裏と表のようなもので、ぴったりとくっついているのだけれど決して交じり合うことはないから、二つの力は似ていても全く異なるもの。
 だからこそ、強く感じるその気配……かすかに織り込まれた手塚の『気』が、彼の気遣いを伝えてくれる。
 手塚は決して、自分を厭っているわけではない。
 本音を言えば、顔が見たいし、もっとちゃんと話をしてみたいけど。
 今はまだ、それだけで我慢できるから。
「あっ、お昼御飯届いたみたいだにゃ」
 まだちょっと頬を紅くしたまま、菊丸が言うのを聞いて、リョーマは我に返る。
 どうにも手塚のことを考えると、他の一切が頭に思い浮かばなくなってしまう。
 この気持ちをなんていうのか、リョーマは知らない。
 知らないけれど、大事にしたい気持ちだった。
 大石のことを話す菊丸の顔を思い出して、それは確固たるものになる。
「おちび?」
「わかってる……でも、周助は?待ってなくていいの?」
「時間かかるかもしれないから、先に食べとくように言われてるにゃ」
「ふーん。どこ行ったの、周助」
「手塚んとこに報告だって」
「報告?」
「おちびのことじゃない?心配なら、直接来ればいいのに、面倒くさいやつ」
 一国の王に対してずいぶん辛口な発現だが、不二や菊丸に言わせるとこれも好意の顕れということらしいが……
「仕方ないよ。王様って忙しいんでしょ?」
 まだ我慢できるから。
「おちびは本当にいいこだよねぇ。手塚にはもったいない」
 この3日、いったい何度聞いた台詞だろう。
 無条件に自分をかわいがってくれる菊丸と不二は、ことあるごとにその台詞を口にしたから。
 リョーマは口元に笑みを覗かせた。
 そこへ……
「おーい、二人とも。準備できたよ」
 聞き覚えのない声に、びくんと身体を強張らせる。
「だいじょぶだよ、おちび。今行くよー」
 菊丸が安心させるように微笑んで、リョーマの手を取り促した。
 彼女の後ろに隠れるようにして、円卓の置かれたスペースに足を踏み入れると、そこには初対面の人物。
 これまで食事の配膳は、不二の式神がやってくれていて……いずれも、女性の姿をしていたのに。
 どう見ても男。
 体格のいい、二十代前半のその男は、顔にお人好しと書いてありそうなほど優しげな風情だった。
「君が越前?」
 膝を折り曲げ、視線を合わせながら問い掛けられる。
 こちらを見る眼差しといい、その態度といいなんとなく犬のような人だなぁと思う。
 どちらかといえば猫派のリョーマだが、動物は全般的に好きで。
(それにこの人の『気』、すっごくいい感じ)
 あっという間に、警戒心を解いたリョーマは小さく笑って頭を上下させた。
「俺は河村隆だよ。手塚たちの仲間だ。よろしくね」
「ヨロシク」
「おちびがここに来てから食べてた料理は、ぜーんぶタカさんが作ってくれてたんだよ」
「えっ」
 いたずらっ子みたいな表情で菊丸が教えてくれたのに、リョーマは素直に驚いた。
 朝・昼・晩とここで食べた食事は、本当に美味しかった。
 やっぱりというかなんというか中華料理っぽいものばかりだったのだが、ちっとも脂っこくなくていくらでも入ったし、何よりデザートで出されるゼリーやプリンのようなお菓子が絶品だったのだ。
 ここに来て初めて食べた焼き菓子も、彼が作ったものらしい。
 食事するように促されて、席につくとやっぱり今日のご飯も美味しい。
「まぁ、俺の取り得なんて料理くらいだしねぇ。手塚や周助から君には安全なものを食べさせたいって頼まれたんだよ」
「またまた、そんなこと言って。タカさんはね、ものすごい剣豪なんだよ。手塚とまともに打ち合える数少ない人間の一人なんだから」
「へぇ……」
 といったきり、言葉が出てこない。
 この人のよさそうな河村が剣を握っているところなんて、想像できないのだ。
 むしろ、厨房で料理に勤しんでる姿のほうがわかりやすい。
「本当だぞ、おちび。まぁ、今の姿からは想像できないだけ浮けど、タカさんは剣を握ると性格変わるから……って、信じてないな、その顔はぁ。よし、近いうちに絶対俺の言ってることは正しかったってわからせてやるからにゃ!」
「英二、何もそこまで……」
「タカさんは、黙ってて。いーや、ぜーったいわからせてやるにゃ」
 剥きになった菊丸を、見つめて、リョーマは飼い猫を思い出す。
 ふーっと、毛を逆立ててた姿を。
「それにな。タカさんはある意味この国の最強人物なんだぞ」
「おい、英二……」
「万が一のとき不二を諌められるのは、タカさんだけなんだから!不二が本気で怒ったら、手塚だって手ぇ付けらんないのに」
 菊丸は拳まで握っている。
 確かにここ数日過ごしてみて、不二は自分にはとっても優しくしてくれるけど、怒らしたら怖いんだろうな……ということはリョーマにもわかっていた。
 いつもにこにこ笑っている人ほど、喰えないことはないし、いざ怒ったときは怖いものはないだろうから。
 それにしたって……
(……北辰王でも手をつけられないって、どんなものなわけ?)
 仮にも、国の要・世界の守りの要たる存在をして。
 北辰王は人間であっても、天界の将軍。
 純然たる力として言えば、いかに屈指の法術師とはいえ、不二が手塚に及ぶはずもないことなのに。
「へぇ、君が僕のことをどう認識してるかよくわかったよ」
 割り込んだ声に、菊丸が息を飲む。
 振り返れずに硬直してるのが、二人の力関係を表しているようでおかしかった。
「お帰り、周助」
「ただいま。リョーマくん。英二、いつまで固まってるのさ。別にこんなことくらいで怒ったりしないよ」
「ほ、ほんと?」
 びくびく聞いてる菊丸の頭上に、ぺたりと伏せた猫耳の幻影が見えるような気がして、リョーマは危うく噴出しかけてしまった。
「本当だって。せっかくタカさんがいるのに、そんな無粋な真似はしません。もっとも、後でお仕置きしてほしいなら、話は別だけど」
「い、いいっ。遠慮します……そ、それよりさぁ、手塚のとこ行って来たんでしょ?どうだった?」
 わざとらしく話を逸らす菊丸に、不二は肩を竦めたが、それ以上の追求をするつもりはないらしい。
「別に。いつもどおり我らが主上は書類と格闘してらっしゃったとも。ただ、リョーマくんのことはくれぐれも頼むって言われたけどね」
 最後のほうの言葉は、リョーマに向けて。
 胸がぽわんと、温かくなった。
「周助は、飯、どうするんだい?食べる?」
「んー、いまはいいや。せっかく作ってくれたのに、ごめんねタカさん」
「別に構わないよ。それじゃ後で何か軽いものを持ってくるから……でも、お茶は飲むだろ?」
「うん。お願いできる?」
 不二の頼みに河村は快く頷いて、その大きな手でお茶の支度を始める。
二人の会話。
とても何気ないものだけど、互いに対する想いみたいなものが溢れている気がして。
彼女の表情はいつも優しげだけど、いつもより更にずっと穏やかで……普段だったら、まだ未熟なリョーマには読み解くことの難しい彼女の『気』が驚くほど無防備に伝わってくる。
この感じ。
(……大石さんと話してる英二の『気』と同じ感じだ……きらきらとは違うけど、あったかい春の風みたい……)
 ひょっとしたら。
 菊丸も言ってたではないか、怒った不二を諌められるのは河村だけだと。
 それは、つまり。
「周助」
「ん?なんだい?」
「周助と河村さんも、恋人同士なの?」
「そうだよ。やっぱり、わかっちゃう?」
 ふふ、といつにも増して魅力的に笑って不二があっさりと肯定したのに対し、河村はお茶を入れる手元を危うくさせていた。
 顔が真っ赤になってるのは、どうやら照れているらしい。
 優しいんだけど喰えなさそうな不二と、菊丸の言葉を信じるならある種の二重人格でとりあえず普段はシャイな河村。
 大石と菊丸同様、この二人も案外お似合いなのかもしれない。
「ところで今日はどうしてタカさん呼んだのにゃ?」
 菊丸がようやく立ち直ったのか、ご馳走様、と箸を置いて疑問を口にした。
「あぁ、そろそろみんなと会わせとこうかなって。桃と海堂にも、来るように言ってあるんだ……と、来たみたいだね」
 不二に倣って気配を探ると、扉の向こうから二つの気配が近付いてくるのがわかった。
 程なく、気配は扉の前で止まる。
「不二せんぱーい。入ってもいいっスかー?」
 役者のように、快活で朗々とした声が入室を請う。
「どうぞ」
 軽く扉が開く音がして……
 衝立の脇から、にゅっと顔を覗かせたのは精悍な顔立ちの青年。
 大柄、というわけではないが、おそらく二十歳前だろうからこれからがまだまだ成長期なのだろうと伺えた。
 その背後からもう一人。
 背格好や年齢はたいして変わらないけれど、やたらと眼光の鋭い青年。
 二人とも腰に帯剣しており、武人であるのは言われなくてもわかった。
 だが、その印象はがらりと違う。
 動と静。
 かたや燃え盛る炎のようであり、かたや静謐を湛えた水面のようである。
「リョーマくん、彼らも僕たちの仲間だよ。手塚が自分で選び、指名した7人の私官。君が顔を合わせてない最後の2人」
 この国では、文官武官問わず、官吏になるには科挙という国家試験を受けて合格しなければならないということは既にリョーマの頭の中にある。
 科挙を受けて合格しないことには、たとえどんなに地位ある貴族でも官にはなれない。
 科挙の合格率は非常に低く、官吏への門戸が狭いことを示しているのだが……
 その例外が、私官という存在なのだ、と頭に浮かんでくる。
 国に仕えず、王個人に仕える側近中の側近。
 王自らが選び指名することにより、いくつもの特権は与えられているものの、実際の官位はなく、国庫とは無関係に王の私財によって俸給を与えられている彼らは、科挙の合否などは無関係で、この人材こそと王が思ったなら身分も何も関係ない。
 手塚が選んだ、7人。
「僕、英二、大石、タカさん、乾……それから……」
「桃城武だ。桃ちゃんって呼んでくれよな」
 精悍な顔立ちの青年のほうは、陽気に笑いながら実に気安げに自己紹介をする。
 もう一人は……
「海堂薫だ」
 と名乗ったきり、黙り込んでしまった。
 第一印象に違うことなく、正反対の2人らしい。
「ちょうどきりよく7人なもんだから、俺たちは『北辰王の七星剣』って民には呼ばれてるにゃ」
「しちじょうけん……それって、この『天鈴』と対になってる北辰王の神器のことでしょ?」
「そうだよ。北辰王の北辰って言うのは、北天に不動の北極星のこと。つまり天の中心だね。これになぞらえて初代が天帝より賜った号なんだ。その神器・七星剣は、北極星に従う北斗七星の別名を銘としてる。畏れ多いことにね、民は僕らをその七つ星に当て嵌めているのさ」
 そう説明する不二の顔は悪戯っぽいけれど、どこか誇らしげで。
 きっと彼らは、そう称されることに恥じぬよう、日々精進を怠るまいとしているのだろうと、リョーマは確信していた。
「桃、海堂……他言無用なのは、わかってると思うけど、この子が手塚の『加護女』だよ」
「越前リョーマです。よろしく」
「おうっ、よろしくな。えーと、越前って呼んでいいか?」
「いいよ」
「よし、じゃあ、これからそう呼ぶな」
 にっこり笑う桃城に、リョーマも笑い返す。
 それから海堂のほうに視線をやると、彼は小さく頷いてから顔を逸らしてしまった。
 気さくで人好きのする感じの桃城と違って、彼は寡黙で……ついでにシャイなのだろう。
「実はね、リョーマくん。君のことが既に宮城の中ではちょっとした噂になってるようなんだ」
「えっ」
「僕たちも君を迎えに行くときかなり慌ててたから人目なんて気にしなかったっていうのもあるし、内宮に住人が増えたらしいってことは、口外しないようにしててもわかるものさ。何しろ建物の数は不必要なほどあるけど、実際住んでる人間は両手で足りるくらいなんだから。官っていうのは目敏いしね。あぁ、そんな顔しないで。君が『加護女』だということに気付いてるものはいないよ。一応僕の弟子ってことにしといたから」
 手塚の傍にいられないのは寂しくて。
 顔が見られないのは辛いけど。
 自分のことを慮って隠そうとしてくれてる、彼の気持ちが無になるのは嫌だったから。
 不二の機転はありがたかった。
「そういうこともあってね。耳聡い貴族にも、その噂は届いてるようだから、警戒を強めたほうがいいと思うんだ。僕や英二がなるべく君の傍を離れないようにするのはもちろん……タカさん、桃、海堂、君たちにもこの宮の警護の任についてもらうよ。あからさまでは困るから、さりげなくね。手塚には大石や乾がいるから問題ないだろうし、頼んだよ」
「わかったよ、周助」
 穏やかに頷く河村。
「まっかせといてくださいって」
 どんと胸を叩いて請け負う桃城。
「…………」
 無言で、しっかりと視線を合わせてきた海堂。
 三者三様、けれど三人ともとてもいい『気』だ。
 濁りがなく、真っ直ぐで……とても心地いい。
 何より、手塚が信を置いて選んだ人たちなのだ。
 リョーマの中には、会ったばかりの三人に対する好意が、すっかりと芽生えている。
 そこへ。
「何があってもだいじょーぶにゃ、おちび。俺たちは、おちびの味方だからね」
 菊丸がいつものようにがばっとリョーマに抱きついて、頬を摺り寄せる。
 不二も優しい笑顔で、こちらを見つめていた。
 大事に思われることがこんなに心地いいなんて思わなかった。
 でも、それに甘えていけばいけない、とリョーマは思う。
 まずは、自分のすべきこと……この世界のことを知ること、力の使い方を覚えること……を着実にこなしていって、いつかこの人たちにも頼ってもらえる人間になりたいと思う。
 そして手塚のための『加護女』であるのに相応しい人間になりたい。
 そのための努力は、決して惜しんだりしないから。
 今はできることから一歩ずつ。
 リョーマは、5人に等しく視線を投げかけて、勝気な笑みを浮かべて見せた。

                                 

続く

  • 2011/05/31 (火) 15:26

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