作品
四章 竹葉月・弐
「用意はできたか、リョーマ」
「うん」
衝立から顔を出した手塚に、リョーマは満面の笑みで頷いた。
朝の約束。
手塚の言う『いいところ』がどこかはわからないけれど、リョーマはその約束が楽しみでならなかったから。
少し早めの夕食を食べて、ざっと風呂に入ってから濡れた髪が乾くまで待って、改めて平服に袖を通した。
サーモン・ピンクのアオザイは、もちろんリョーマ仕様に上衣とズボンの丈が短い。
紅い縁取りと、飾り釦が可愛らしい作りだ。
いかにも『女の子』な感じがするけれど、最近のリョーマはこう言ったものも抵抗なく……むしろ好んで身につけるようになっていた。
理由は一つ。
手塚が似合うって言ってくれたからだ。
『リョーマはどんな色でも似合うな』
愛しげに目を細めてそんなこと言われてしまったら、抵抗なんてあっさり流れてしまうに決まっている。
大好きな人には好ましく想われたいもの。
リョーマの中から躊躇いがなくなったのを感じ取って不二と菊丸が、これまでの寒色系のものに加え、淡く可愛らしい色合いの平服を見立ててくれて。
二人みたいな大人っぽい感じのはまだ全然似合わないけれど、歳相応に装った自分を見て、手塚が嬉しそうに愛しそうにしてくれるのが、くすぐったくて幸せ。
今もそう。
リョーマの格好を上から下まで眺め、満足そうに微笑むと、髪がちゃんと乾いているかどうか確かめる意味も込めて髪に指先が埋められ、優しく梳かれるのが気持ちいい。
元の世界にいたとき飼っていたカルピンも、そしてこの世界で手塚から贈られた真珠も、リョーマが撫でてやると気持ちよさそうな顔をするから……今の自分と同じ気持ちなのかな、と考えた。
「では、行くか……透理。リョーマに何か羽織るものを。今夜は少し、肌寒いだろうからな」
「はい、畏まりまして。リョーマ様、こちらを」
「あ、ありがと」
手渡されたショールに、リョーマは首を傾げる。
今はもう竹葉月……元の世界で言えば、七月で、もうすぐ本格的な夏がやってくる季節だ。
天領国の夏はさほど蒸すものでも、暑過ぎるわけでもなく過ごしやすいと不二たちに聞いていたし、国土の遥か上空にある紫電宮は夜ともなれば涼しいくらいだとは聞いているけど……
軽く羽織るというものではなく、しっかりと防寒を意識した素材のショールは、だからちょっと疑問だった。
「今夜は年に一度、天から星が降る夜だからな。毎年この日の夜は、夏だというのにそうとは思えない冷気が降りてくるんだ。それは天の気配だと、言われている」
「ふーん、そうなんだ」
疑問に答えてくれた手塚の言葉に、リョーマは頷く。
「まぁ、実際外に出てみればわかる」
そう言って、手塚は中庭に面した大きな窓を開けた。
「そこから行くの?」
「あぁ。わざわざ禁門を通るのは、少々手間がかかるからな」
王の言葉とは思えないが、手塚はときどきアバウトなところがあって、リョーマは恋人のそう言った面も大好きだ。
促されるまま、外に一歩足を踏み出すと確かに寒い。
ぞくりと震えた肌に、手塚はリョーマが持っていたショールを手に取ると、それを広げて身体を包んでくれた。
それから、鋭く指笛を鳴らすと、羽ばたきの音と共に大きな影が二人の前に降り立つ。
手塚の騎獣・静嵐(せいらん)。
北辰王に相応しい、特別の獣。
霊獣でも、妖獣でもない……静嵐は神獣だった。
龍馬(りゅうめ)という種で、竜が牝馬と交わって生まれる気性が荒く矜持も高い獣なのだ。
竜は天地を自在に行き来することのできる神種。
人間に好意的なものも多く、個人や血族の守護につくこともある。
なかなかにフレンドリーな神様ではあるが、唯一難点があるとするならばその性が多淫であること。
つまり人だろうと、馬だろうと関係なく交わり、子孫を残す。
静嵐を初めて見たとき、リョーマは鎧を纏ったペガサスのようだと思った。
一見は翼のある馬。
身体はサラブレッドよりも一回り大きいくらいで、大きな翼。
額には二本の角が生え、鬣と尻尾以外は、びっしりと鱗に被われている。
静嵐の鱗は、龍馬の中でも珍しい玉虫色で、陽光の下では金色に輝き、月光の下では銀の光を弾く。
元来、人の騎獣に収まっているような気性ではない。
手塚はこの静嵐を、まだ北辰王を継ぐ以前に自ら捕え、そして騎獣として馴らしたのだという。
それは生半なことではない。
気位の高い龍馬は、主を選ぶ。
己の主に値しない器量の持ち主には、決して服従することはないらしい。
つまり手塚は、静嵐に主として認められたのだ。
(…………さっすが、俺の国光だよね……)
うっとりと、鬣を撫でてやる手塚に見惚れていると、青嵐が頚を伸ばしてにゅっとリョーマを覗き込む。
金の瞳に見透かされるようで、内心慌ててしまった。
「静嵐はリョーマのことを相当気に入ってるな」
「そ、そかな?」
「あぁ。例え俺の命令でも俺以外を背中に乗せようとしなかったこいつが、おまえを乗せるとなると途端にはしゃぐ」
「静嵐、はしゃいでるの?」
「見た目にはわかりにくいがな。静嵐、懐くのは一向に構わんが……だが、リョーマはやらんぞ。こいつは俺の半身だからな」
主の言葉に、静嵐は不満そうに嘶いた。
リョーマはといえば、年上の恋人の臆面のない台詞に赤面するばかりで……
俯いた矢先に、腋の下に手を入れられ、軽々と抱き上げられる。
そうして、鞍の上に横座りさせられた。
手塚自身も鞍上に身を乗り上げ、リョーマを胸に寄りかからせるようにして、静嵐の手綱を取る。
「行くぞ」
「ん。透理、行ってきます」
「行ってらっしゃいませ。お気をつけて」
式神に見送られ、静嵐の足が地から離れる。
一瞬の浮遊感。
次の瞬間には、静嵐は空を駆けていた。
風を切る感触が、頬に冷たく突き刺さる。
手塚が厚手のショールを羽織らせたわけが、わかった。
「リョーマ」
耳に届いた声に、リョーマは顔を上げる。
「寒ければ、俺の方に身体を寄せていろ。俺はたいして温かくはないが、少しはましだろう」
「ありがと」
申し出をありがたく受けて、リョーマは手塚の胸に頬を寄せた。
全身を預けるようにしても、そんなことは何の負担にもなっていないかのような逞しい胸。
その奥から、聞こえてくる彼の生命の音。
それを感じているだけで、じんわりと温かくなり、寒さなど忘れてしまう。
(……国光は、寒くないのかな?)
政務に追われてても、身体を鍛えているらしい彼のことだ、このくらいどうってことはないのかもしれない。
(……そーだ)
リョーマは静かに深呼吸を繰り返し、気息を整えた。
己の中の気を整えて、周囲の空気の温度調節をする。
不二に教わった基礎中の基礎だ。
「リョーマ?」
「へへっ。こうすれば国光も温かいでしょ?」
頬を彼の胸に埋めているので、顔は見えないけど。
ふっと優しく微笑む気配がして、片腕で軽く抱き締められた。
「あぁ、温かい」
深みのある、硬質のテノール。
優しさが滲む声音に嬉しくなって、リョーマはより手塚に体重を預けた。
安心して全てを任せることのできる場所があるというのは、なんて幸せなのだろう。
言葉になんて、とてもできない。
『へー、おちび今日の夜、手塚と出かけるんだー』
『今日は、星祭だもんね。それを忘れない程度の甲斐性はあったってことか』
昼間の、菊丸と不二の言葉が蘇える。
舞の練習を中断し、昼食を食べているときのことだ。
口に入れたものを嚥下してしまってから、星祭って何?と問いかけたリョーマに二人は意味ありげに微笑んだ。
『星祭は年に一度、天から星が降ってくる日のことにゃ』
『天からいくつもの流星が綺麗な音をたてて降ってきてね。それは素敵なんだよ』
流星群のようなものだろうか、と納得したリョーマに菊丸たちはさらに説明を付け加えてくれた。
『星祭は、恋人たちの祭なんだ。この日はね、恋人や伴侶のいる人間は、みんなその相手と過ごすんだよ。自分たちの想いが天地のように永く揺るぎなくあることを願ってね』
『今日、天から降って来る星たちは、天帝から西王母への恋文だって言われてるにゃ。だからこの日は、自分にとって一番特別で愛する人と過ごす風習があるんだ』
もちろん自分たちも、そうだよ……と二人は自慢げに……そしてどこか恥ずかしそうに笑っていたっけ。
それを聞いてから、リョーマは夜が待ち遠しくてならなかった。
もちろん手塚がどこかに連れて行ってくれるなんていうのも初めてで、『星祭』のことを聞く前から楽しみだったけど……
恋人同士の行事だということを踏まえて誘ってくれたんだったら、なおのこと嬉しくて待ち遠しくなるのは当たり前だ。
『誓約の儀』で自分の気持ちを伝えて、手塚も自分のことを好きでいてくれたのがわかって……初恋が叶ったのが夢みたいに思えた感覚を今でもリョーマは覚えてる。
多分、一生忘れない。
そうして恋人同士という鞘に収まったのだけれど、リョーマに不安がなかったわけじゃないのだ。
だって手塚は大人で、自分はまだどう見ても子供だから。
彼はとても優しくて誠実で自分を大事にしてくれる。
子供だから、と変に遠慮することなく積極的に抱きしめてくれるし、キスだってしてくれるけど……
安心する心とは別に不安に陥ることがあって。
でも手塚は、言いたくて言えなくて持て余してるリョーマの心をちゃんと察してわからせてくれるのだ。
お互いにとって誰が一番愛しい存在であるのか。
即ち、恋人である、と言うことを。
(…………俺ってすごくラッキーだ。こんな素敵な人、他にはちょっといないよ……)
口に出したら、惚気だろうことをリョーマは思ってひっそり笑う。
不二たちの前で吐露した日には、いろいろ意見がありそうだけど……
(俺には国光が一番だもんね)
そっと目を開けて眼下を伺うと、街の灯りが流れて見える。
龍馬は、人が騎乗できる獣の中では最速を誇る生き物だ。
その手綱を操る恋人の顔を盗み見て、リョーマはまた目を瞑る。
全てを預けて、手塚がいいというまで……彼の心音を聞きながらそうしていた。
「リョーマ、目を開けてみろ」
手塚の優しい声に促されて目を開ける。
「周りを見てごらん」
言われるまま視線を廻らせて、リョーマは息を呑んだ。
こちらに来てから、分刻みの時間の感覚はさっぱりわからなくなったけれど……
それでも宮城から出て、三十分も経っていないはずだ。
通常の騎獣……空行できるものだったとしても……春蓮から、ここまで間に休みをいれず、どんなに急いでも二日は要するというのに。
ちゃんと認識するのは初めてだけど、ここがどこなのかリョーマにはわかった。
天に満天の星があり、地にもそれがある。
来たことがないわけではない。
いや、『来た』という表現は微妙だ。
世界の中心に広大な水を湛え、天領国の国土が浮かぶ場所。
天海。
その上空に、静嵐は足を止めているのだ。
天領に召喚されたリョーマを受け止めた水が、満天の星を映している。
感じる、既視感。
この光景は、まるであの日のような……
二人が誓約を交わした日、星辰の間で見たあの光景がそのまま再現されているような気さえした。
いや、むしろ再現しているのはあちらの方かもしれなくて……
「一度、おまえにこの光景を見せたかった」
巨大な満月に照らされた手塚の表情は、どこか照れ臭そうで……リョーマは胸がぎゅっとなった。
「リョーマ、月が中天に来る……天から星が降ってくるぞ」
恋人の言葉が耳に届くのと同時に、全く別の清んだ音がいくつも聞こえてくる。
薄い硝子を爪の先でそっと弾いたような、高く響く音。
それが幾重にも重なり合って、天上の音楽のようだった。
そして星が……数え切れないほどの星が、長く尾を引いて夜空を流れ落ちていく。
水面にもそれが映り……この世のものとは思えない美しい光景がそこにはあった。
「気に入ったか?」
「……うん。ありがと、国光。こんなに綺麗なもの、俺に見せてくれて……」
「気に入ってくれたのなら、俺も嬉しい。この光景を初めて見たのは、俺が北辰王を継いだ年のことだ……覚悟はしていたが、いざ王位をついでみて痛感したのは、己の力量不足ばかりで……少しばかり憂鬱になっていた。そんな気分を振り払いたくて宮城を抜け出して……この光景をみて、その日が星祭だったと気付いた。そのときには相手のいないこととは言え、つまり俺はそんなことにも気が回らないほど余裕をなくしていたんだと思う」
「…………」
「この光景は、俺に肩の力を抜くということを思い出させてくれたんだ……そして……俺は思った。いつか……いつか自分の加護女が顕れたそのときには、この光景を一緒に見たいと……ようやくその願いが、叶った」
ありがとう、と微笑まれて、リョーマは胸が詰まりなんと返していいのかわからなくなる。
そう言いたいのは、自分の方であるのに。
溢れそうな想いは言葉にならなくて……だから、リョーマは微笑んだ。
極上の笑顔を大好きな人に向けて、彼の逞しい胸に頬を摺り寄せる。
優しく、けれど抗えない力で拘束されて……幸福感が溜息になった唇から零れ落ちた。
しばらくそうしていたけれど、手塚が静嵐の手綱を軽く繰った。
もう帰るのか、と少しだけ残念に思ったけれど、手塚には明日も執務があるのだ。
大人しくしていると、しかしそうではないのだということがわかった。
静嵐が、緩やかに下降していったからだ。
辿り付いたのは、ごつごつとした岩場が点々と続く不思議な場所。
少し離れたところに、絶壁のようなものが見える……しかしそれは、水の中には続いておらず中に浮いていて……天領国の大地の果てであることが理解できた。
岩場はそれを囲うように途切れ途切れに続いている。
静嵐はその一つに器用に降り立った。
「国光?」
問いかけに答えたのは、大好きな人の微笑。
手塚は足場が悪いそこに、気遣いながらリョーマを降ろした。
「ここだ」
「?」
「覚えていないか?まぁ……当然かもしれんが……ここなんだ、リョーマ。俺はあの日……ここでおまえを見つけた」
「……!」
「……花冷えのする、夜だった。不二と大石と……大急ぎで宮城を出て……半身を水に晒していた濡れ鼠のおまえを見つけた。これが俺の加護女なのかと……目を疑った。おまえは小さくて、稚くて……それが、俺には無性に切なかったよ。抱き上げたおまえの軽さが、その気持ちに拍車をかけた。どうしようもなく切なくて、守りたくて……抱き潰してしまいたくなるほど愛しかった」
そう語る手塚の表情は、どんな言葉にも表せない。
ただ……息苦しいほどの恋しさに、リョーマは思わず胸を抑えていた。
「心では、おまえが俺の半身だとわかっていたのに……歓喜すらしていたのに……俺は、愚かにもそれを認めることができずおまえを傷つけたな……本当に、すまなかった」
「そんなこと……そんなこと、言わないでよ、バカッ。そりゃ、俺も初めは辛かったし寂しかったけど……でも今は国光、俺のこと大事にしてくれてるじゃないか!俺、まだ子供だけど……こんなに……宝物みたいに接してもらったことないよ?国光は、今、俺を一番幸せにしてくれる大事な人だ。だから、もう、あのときのことで謝ったりしないで。遠回りだったかもしれないけど、あれだって必要なことだったんだって、俺は思ってるから」
言い募るリョーマに、手塚は表情を弛めて頷いた。
「あぁ……そうだな。あれは俺たちには必要な時間だったんだろう……だからこそ、あの日、おまえを見つけたこの場所で今日という日に告げるのが相応しいと、思える」
「相応しい?」
首を傾げたリョーマの量頬を、手塚の大きな手のひらが包み込む。
わずかに身を屈め、覗き込んできた眼差しにはリョーマを慈しむ熱っぽい光が明滅していた。
「リョーマ」
「……何?」
「今すぐのことではない……いずれ時が満ちたら、俺の正妃になってくれないか?」
手塚の言葉が信じられなくて、一瞬目を見開くと彼は軽く目を眇めた。
まるで、眩しいものでも見るみたいに。
「正妃って……それって国光の奥さんってこと?国光、俺のことお嫁さんにしてくれるの?」
「俺はそうなって欲しいと思っている。あとはリョーマが望んでくれさえすれば」
駄目か?と囁く声が甘くて、ずるいとリョーマは思う。
答えなんて、一つしかないのに。
「駄目なわけないじゃん!!俺、すごく嬉しい……でも、俺で、本当にいいの?」
「おまえ以外考えられない……リョーマじゃなきゃ駄目なんだ」
抱き締められて……涙は辛うじて堪えた。
だけど今にも身体中から溢れてしまいそうな気持ちは堪えられなくて、衝き動かされるままに手塚にぎゅうっと抱きつく。
「俺も……俺もね、ずっと一緒にいるの、国光じゃなきゃ駄目だよ」
その言葉に、手塚の腕の力が強くなった。
苦しいくらい抱き締められて……けれど、その苦しいのが幸せで……
「おまえの世界では、求婚が成立したときは、こうするのだといっていたな」
名残惜しそうに身体を離し、そっと左手を取られた。
その薬指に……小さな石をはめ込んで作られた、シンプルな銀の戒指が贈られる。
いつだったか話した、エンゲージリングのこと。
覚えていてくれただけじゃなくて、ちゃんと用意してくれたのだと理解して、せっかく堪えきったはずの涙がとうとう頬を伝い落ちた。
嗚咽は止まらず、言葉にならない。
「受け取ってくれるか?」
問いかけには頷くしかできなくて。
何度も、何度も頷くしかできなくて……
「無駄にならずにすんでよかった」
恋人のそんな言葉に、無駄にするわけないじゃないかと、心の内だけで呟いてリョーマは精一杯背伸びする。
下ろした瞼の意味を的確に汲み取って降りてきた唇が、嗚咽を止めようとするようにリョーマのそれに押し付けられて。
与え合うように、あるいは奪い合うように何度もくちづけをかわす二人の耳に、星の降る音だけがいつまでも響いていた。
その帰り道。
プロポーズがとても嬉しかったリョーマは、大好きな恋人に、いつになったらお嫁さんにしてくれるのかしつこく迫り……具体的なことは考えていなかったらしい彼は、困ったような顔をしていたけれど。
最後には、早ければ自分が北辰王を継ぎ成人した歳に、と言う言質をくれた。
確実な約束を求める自分はやっぱりまだまだ子供っぽいのだろう。
でも。
月光に翳して、光を放つ戒指にどうしても我慢できなくて。
『約束だからね』と、念を押し、苦笑するしかないだろう手塚の唇に、一瞬だけ伸び上がり掠めるようなキスをした。
終幕・五章へ続く
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